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2016年7月 9日 (土)

選挙に行こう!~大橋巨泉の遺言

大橋巨泉氏といえば、万年筆のCMや深夜番組の11PMやクイズダービーの司会者で、早期リタイアをして海外生活を満喫しているうらやましい人物というイメージでしたが、20年近く続けてきた「週間現代」(講談社)の連載コラム「今週の遺言」を読むと、華やかで悠々自適な生活の裏で、大変な苛立ちと焦りを抱えていたことがわかりました。

巨泉氏は2005年に早期胃ガンの発見を皮切りに、13年には中咽頭ガン、14年にはリンパ節、15年には右肺、16年には左鼻腔内にもガンが見つかり、長期闘病生活をしながら、コラムの掲載を続けていました。

そのコラムも7月9月号をもって最終回とするとのことで、その原稿でも、

〈体力が戻ってこず衰えた〉
〈何時(いつ)まで生きられるかわからない〉

と、死を意識するほど重篤な病状の中、原稿の最後には下記のような文章で締められています。

〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。
だが今も恐ろし事や情けない事、恥知らずな事が連日報道されている。
書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許してください。
しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。
安倍晋三の野望は恐ろしいものです。
選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。
7月の参院選挙、野党に投票して下さい。
最後のお願いです〉

巨泉氏が最後の力を振り絞って綴った「最後の遺言」は、改憲を争点からひた隠し、着実に日本を戦争へと向かわせる安倍政権への痛烈な批判でした。

氏はこれまでも実際に先の戦争を見てきた経験から、いかなる戦争も個人の尊厳を破壊するものとして一貫して反対姿勢を貫き、「戦争のできる国」作りを画策する安倍政権に対して批判し続けてきました。

以前のコラムにも、

〈たった一人の疎開先で受けたイジメの数々、そして一面の焼け野原と化した故郷東京ーこうした辛い少年時代を、これからの日本人に味わせてはならない。
しかもそれを体験した世代は日に日に少なくなってゆく。
この焦りは、二人(菅原文太さん・愛川欣也さん)の死によって増幅されてゆく〉

〈最大のテーマは「戦争と平和」である。
安倍首相を初めとする現レジームにとって、戦前のように「自由に戦争の出来る国」は理想的なのだろうが、われわれ昭和ヒトケタにとっては、「平和憲法に守られたこの70年こそ理想の天国」なのである。〉

と書かれている。

恥知らずな事が連日報道されている、とは先日まで「総裁任期中に憲法を変える」と豪語してたにもかかわらず、選挙になった途端に「選挙の争点は改憲ではない」といい、貧困を作り続けるアベノミクスの失敗を認めないばかりか、道半ばでありその成果を手柄であると言い換えることだろうか。

福島原発事故の汚染水がダダ漏れでも、世界に向けて「アンダーコントロール」と言える神経の持ち主の辞書には、「恥知らず」という言葉は載っていないのかもしれません。

戦争法制を平和法制と言い換える不実な政権を継続させてはいけません。
戦前・戦中を生きた人々がいち早く気づいたきな臭さは、ただの杞憂ではありません。
自民党の改憲原案は、現九条を削って、国防軍保持、軍隊内審判所(軍事法廷)の設置であり、緊急事態条項の新設です。

ドイツ・ナチスと同じように、内閣は法律とおなじ効力を持つ政令を制定、地方自治体に命令し、個人の基本的人権さえ制限できます。

現憲法は天皇または国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に、憲法尊重と擁護の義務を課していますが、自民党の改憲案は逆転させて「すべての国民」を支配する憲法に変えようとしていると鎌田慧氏もいっています。

病床から最後のお願いをした巨泉氏の願い、この国の平和のために、こどもたちの未来のために、どうか明日は選挙にお出かけください。


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