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2013年3月21日 (木)

骨を守る薬であごの骨の壊死

先日、歯科医院へ行きました。小学生のころからお世話になり、成人してからは飲み屋に連れて行ってくれたこともある、長~いおつきあいの先生です。しかしできることなら縁を切りたい(笑)、というか歯科に行かずに済むなら行きたくないというのが本音です。この十年、骨折以外で通った病院は、この歯科医院くらいですが、やはり縁を切ることは難しいですね。

その日は歯茎の違和感で訪れたのですが、シートに座ると即座に、「骨粗鬆症の薬剤はとっている?」と先生に尋ねられました。私が骨折したことや更年期にさしかかっていることから、別の病院で処方されていないかというのです。なぜそんなことを聞くのか?数年前の毎日新聞のコピーを手渡しながら、先生が説明してくれました。

実は骨を守る薬「ビスフォスフォネート(BP)系薬剤(がんや骨粗鬆症治療薬)」の副作用であごの骨が壊死する可能性があるというのです! 発症率は高くないものの、治りにくく、重症化して生活に支障がでるケースもあります。この薬剤は、骨粗鬆症の飲み薬としては一般的なほか、乳がんや前立腺がんなどの骨への転移を防いだり、骨髄腫などの注射薬としても広く使われているそうです。

03年、米国で初めて報告され、3年後には報告が世界で2500人を超えていますが、原因は不明です。発症率は注射で1%前後、飲み薬で0.01~0.04%とする豪州の調査もあります。注射と飲み薬では骨への吸収量が約50倍違うためらしいです。症状は、歯茎などに骨の一部が露出したり、はれて痛むといった程度から、重症になると上あごに大きな穴があき、口から鼻へ水などが入ったり、歯が抜け落ちる場合もあります。

国内初の報告を行ったのは社会保険船橋中央病院で、口の中の皮膚が破れ、上あごの骨が露出した女性患者でした。彼女は乳がんの転移を防ぐためビスフォスフォネートの注射を受けていましたが、薬の副作用は想像外でした。当時、医師も転移がんと思って疑わず、何度も精密検査をしたそうです。その後、2008年日本口腔外科学会の調査では、580例が確認されています。

この薬剤で壊死が起きるのはあごの骨だけです。これは、もともと口の中は常在菌が多いほか、あごの骨を覆う口の中の皮膚は薄く、歯の周囲から感染が骨に及びやすいといった条件が重なるためだと推定されています。薬剤の投与中に抜歯やインプラント、歯槽膿漏の治療を受ける人には注意が必要で、一定期間休薬などの措置がとられるそうです。歯科治療以外でも、リウマチなどでステロイド薬を併用している人や糖尿病患者も要注意とのことです。

というわけで、先生は私がBP系の薬剤をとっているなら、治療を先に延ばして休薬が必要であると話されたのでした。今回は骨折という外から見ても分かりやすい状態でしたが、乳がんの治療をしていることなどわざわざ歯科医師に話さないでしょうから、患者の側もどんな薬をとっているか、正確に申告しないといけません。単なるカルシウム剤だからなどと侮れませんね。

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