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2009年2月12日 (木)

パンデミック(世界的流行)を考える

ジョン・ケリー著「黒死病 ペストの中世史」の読売新聞書評(2/8付)を読みました。黒死病(ブラック・デス)に罹った人間はリンパが腫れ、皮膚が黒ずみ死に至りますが、この病原体と人はどうのように出会ったのでしょうか? 1347年秋、ジェノヴァ人を乗せた船が黒海からシチリア島に帰還した際、ネズミと一緒に潜んでいた密航者が上陸したことで、無数の蚤が四散したことに端を発し、人類史上最悪のパンデミックとなりました。病気は欧州人口の3割を消し、混乱が極まり、毒を井戸に投げ込んだという流言飛語(わが国でもその手のデマが流れた歴史がありますが)によってユダヤ人が虐殺されるという悲劇も起こりました。現在は黒死病の正体はペストとされていますが、巻末ではその論争についても整理されている良書とのことでした。

書評は続き「現在、私たちは感染力と病原性の強い新型インフルエンザのパンデミックを恐れている。私たちがほんとうになすべきことは何か。本書で明らかにされる病気の歴史はこう語っている。それは必ずしも高価な薬剤の大量備蓄ではない。半ば諦観を持ち、半ば信じるということである。ヒトは病気を完全に撲滅することはできない。なぜなら病原体は人を住処とし、人知よりも速く進化するから。しかしさらに重要な点はこうだ。病原体の側も、人類を完全に滅ぼすことはできない。どんな病気であっても、罹らない人治る人があり、また時を経て耐性を持ちうる進化をなす。両者は絶え間なくせめぎ合いながら動き、動きながら平衡を求め続けるしかない。それがほんとうの生命の共存である」とマイブームの福岡 伸一先生が評しておりました。

それなのに、2/11朝刊には、インフルエンザ治療薬「タミフル」が効きにくい耐性ウイルスの流行を受け、同治療薬「リレンザ」200万人分をフランスから緊急輸入するとの記事が掲載されていました。これこそ「高価な薬剤の大量備蓄」であり、「耐性をもちうる進化」を阻害する行為だと感じます。そろそろ人知より速く進化する病原体を躍起になって撲滅しようとするのではなく、せめぎ合いつつ共存する方法を考える時が来ているのではないでしょうか。

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