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2008年1月 7日 (月)

風邪薬 6歳未満 米で中止勧告

年の初めからあまり楽しい話題とも思えませんが、国内出荷額677億円(2005年度)を売り上げる総合感冒薬(風邪の諸症状を緩和する目的の市販薬)についての新聞記事(昨年12/24・25読売新聞~医療ルネサンス「子供と風邪薬/上下)を読んだ上で、今後の風邪対策について今一度考えて欲しいと思い全文を掲載しました。安易に薬剤を乱用している現状を知るきっかけになるとよいと思います。

『子供と風邪薬(上)』

風邪がはやるこの季節、多くの人が風邪薬を使う。ところが、米国で薬の許認可を行う食品医薬品局(FDA)の小児医療に関する諮問委員会は今年10月、せき止め、鼻水止めなどの市販の風邪薬は、6歳未満の小児には使用すべきではないと勧告し、波紋を呼んでいる。

 子供への効果が確認されていないうえ、まれに重い副作用が起きる、という理由からだ。

 FDAは、風邪薬で、せき、くしゃみ、鼻水といった症状が緩和されたかどうかについて、過去のデータを検証した。その結果、実際に患者に使って効果を調べた臨床試験は11件しかなく、18歳未満の子供を対象とした風邪薬の効果は確認できなかった、としている。

 一方、風邪薬による副作用被害も起きている。米国では今年1月、せき止め薬を飲んだ1歳未満の乳児3人が死亡した例が報告された。この後、米ジョンズホプキンス大教授ら有力な小児科医16人が「せき止め薬や、くしゃみ、鼻水などへの抗ヒスタミン剤を含む風邪薬は、6歳未満の幼児には有効性も安全性も認められない」との声明を出すようFDAに求め、今回の勧告につながった。

 問題になった米国の風邪薬は、薬液をスポイトで計量する、日本にはない形態の薬で、誤って過剰投与したことが原因とみられる。

 市販薬メーカーでつくる日本大衆薬工業協会は「日本の小児用シロップ剤は、濃度が米国製品の10分の1から20分の1で、重大な事故は起きていないが、用法、用量の厳守を」と呼びかけている。

 それでも、市販の風邪薬(総合感冒薬)を巡っては、日本でも肺炎、肝炎、けいれん、呼吸困難などの重い副作用が、成人、小児合わせて、昨年1年間だけで129件報告されており、軽視できない。

 薬害を監視する医薬ビジランスセンター理事長の医師、浜六郎さんは「日本の風邪薬にも米国と同様の成分が使われており、小児への効果の裏付けがなく、副作用の恐れがある事情は同じだ」と指摘する。

 医療機関でも、風邪の子供に、せき・鼻水止めなどの薬が処方されるが、やはり効果ははっきりしない。浜さんは「医師が処方する風邪薬は、成分が市販薬の1・5倍から2倍多く含まれ、副作用の危険が、より大きい。市販薬、処方薬とも、6歳未満は使用禁止にすべきだ」と言う。

 勧告を受け、FDAは小児への使用規制を行うかどうか検討しており、厚生労働省は「米当局の対応を見守りたい」としている。

 風邪の原因であるウイルスに効く薬はなく、薬で治すことはできない。あすは薬に頼らず風邪に対処する手立てを考える。

『子供と風邪薬(下)』

乳幼児が風邪をひいた時、風邪薬を使うのが望ましくないのは、効果がはっきりしないことや、副作用の恐れがあるからばかりではない。

 風邪薬の問題に詳しい「はやし小児科」(大阪市)院長の林敬次さんは「風邪をひくと、せき、くしゃみ、鼻水が出るのはなぜなのかを理解しておくことが大切」と話す。

 鼻の奥、のどなど気道の表面には、「繊毛」という極めて微小な毛のような組織があり、空気中のほこりや病原体を捕らえて、きれいな空気だけを肺に送り込む働きをしている。風邪をひいて、この働きが弱まった時、せきがこれを補う代役となり、ウイルスなどの病原体を排除して体を守る。

 鼻水は、気道の粘膜細胞から作られる粘液で、普段は微量が分泌され、繊毛によって鼻の奥からのどに運ばれる。風邪で繊毛の働きが落ちた時、粘液はあふれ出すほど大量に作られることで病原体を排除する。

 林さんは「せきも鼻水も、病原体から鼻や肺を守る役割があり、これを薬で止めると、体を守る仕組みを壊すことになる」と説明する。

 風邪薬を飲むのは、風邪を治すどころか逆効果。風邪なら、せきも鼻水も止める必要はない。

 ただし、せきが出た時に注意すべき場合もある。

 林さんによると、せきが続いて苦しそうにしている、母乳が飲めないほど激しくせき込む、吐く、ぐったりしている、などの場合は、肺炎、RSウイルスによる細気管支炎、百日ぜき、ぜんそくなどの可能性があり、受診が必要になる。

 RSウイルス感染による細気管支炎は、肺炎になって呼吸困難を起こす場合がある。特に生後3か月くらいまでの乳児なら、早く診察を受けた方がよい。

 一方、せきがあっても比較的元気にしている、食事がとれている、夜も眠れる、といった場合は心配しなくてよい。

 そうはいっても、子供のせきや鼻水を楽にしてやりたいと思うのが親心だ。

 鼻水が出て、赤ちゃんが母乳を吸いにくいような時は、市販の鼻水吸い取り器で吸い出すと、いくぶん楽になることがある。

 また、室内が乾燥しているなら、加湿器を使ったり、マスクを着けたりすると、せきが少し和らぐ可能性がある。せきがひどい時は、縦抱きにすると呼吸しやすくなる。水分はしっかり補給したい。

 風邪をひいたら温かく安静にし、薬に頼らずに治すのが基本だ。

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