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2006年3月15日 (水)

超微量の法則

ついにきてしまいました・・・。私が友人に説明するとき、一番苦手としている「超微量の法則」*。しかしホメオパシーの基本原理のの1つであり、外すわけにはいきません。ちょっと長くなりますが、お付き合いください!

昨日お話した「同種の法則」はキナの皮から発見されました。しかしハーネマンがその法則に気付く以前から、南米ペルーのアンデス山中に住むインカ人は、キナ樹皮の浸出液がマラリアに効くことを知っていました。マラリアはマラリア原虫が蚊に媒介され、血液内感染によっておこる熱帯伝染病で、古来より多くの死者をもたらしたため「人類に課せられた呪い」と思われていました。このキナの皮をスペインに持ち帰った医師によりヨーロッパ中に広まり、その後スイスで殺虫剤のDDTが開発され、それによってマラリア蚊が激減するまで、このキナの皮は高額で取引されていました。

しかしキナの皮にはアルカロイドのキニーネという猛毒が含まれており、副作用として嘔吐、耳鳴り、発疹などの激しい症状がありました。ハーネマンはこれを回避するために、キナの皮をすり潰し、毒性だけが失われ、その物質がもつ毒の情報だけを利用することを考えつきました。物質1滴に対して、100倍のアルコールと水で薄め、そこからまた1滴取り出してアルコールと水で薄めます。これを何百回、何千回と繰り返すことで、最初にすり潰した物質の成分が1分子も検出されないほど薄めるのです。この液体が、たまたまハーネマンの往診カバンの中で移動の際、自然に揺り動かされたことにより、振動させることの重要性も偶然見つけられました。振動を与えることで、無毒化した液体の潜在能力が高まり、より効果的に作用することを発見したのです。この「薄めて叩く(振動させる)こと」《希釈震盪(きしゃくしんとう)といいます》は「超微量の法則」と呼ばれ、ホメオパシーを理解するうえで重要な事柄のひとつになります。

・・・とここまで、教科書のような説明になりましたが、ここで物質社会に生きる我友人は、「薄めたら効かないんじゃない?」と、この世界ではもっともといえる質問をしてくるのです。

しかし物質が多ければ多いほど、薬の効果が高いわけではありませんよね。風邪薬をたくさん飲んだから、放射線治療をたくさんしたから早く治るわけではありあません。むしろその副作用が心配になります。

古来から、毒薬を薬として重篤な患者に致死量を超えず、かつ毒性によって病気のみを抑制する治療が行われていました。18世紀に入っても、瀉血(治療目的で静脈から血を抜くこと)や催吐剤(嘔吐を促す薬物)などを使った無謀な治療、また鉛・水銀・砒素などの有毒物質が医療として当たり前に使用されていました。その結果、かえって健康を害するだけでなく、治療によって命を落とすことも稀ではない時代でした。そこでハーネマンは、当時の治療に幻滅し、医療を中断し、医学書の翻訳を始めました。そんな中、彼はずっと重い副作用や危険のない治療を模索し、薄めることを考えついたのではないでしょうか。

では、薄めたものは本当に効果がないのでしょうか?もちろん、無闇矢鱈に薄めてよいというわけではありません。薄めた度合いによって、効果が高い地点とそうでない部分が波のように現れることも、彼は見出しました。現在、私たちが使用するレメディー(砂糖玉を物質を薄めた液体に浸したもの)の希釈震盪の比率《ポーテンシー*といいます》は30C、200C(Cフォーム[単位]は100倍希釈法を現わす)など一定のものを使用しています。(他にもXやMフォームがありますが、後日ポーテンシーの説明時に詳しくお話します)

なぜ原物質が失われるほど希釈したものに効果があるのか?これについては、化学的な検証はされていません。ただわかるのは、真実、作用があるということだけです。現代医学でも、麻酔がなぜ効くのかは明確にわかっていません。それでも、どこに使用すれば、どう作用するのかはわかっています。外科的治療をするうえで必要不可欠な麻酔は、「なぜ効くか」より「効いている」という事実が重要なわけです。ホメオパシーも同様であると考えます。医学や化学が進歩するにつれ、この疑問は解き明かされることでしょう。でも今は、ホメオパシーの恩恵に与るだけでもよいのではないでしょうか。なにしろ、現物質が入っていないということは、副作用を心配する必要がまったくないのですから・・・。

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